外壁塗装における「下塗り塗料」の重要性と選び方
外壁塗装は、「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗りが基本です。色や機能など、お客様が注目されるのは中塗り・上塗りに使用する仕上げ塗料ですが、塗装の耐久性や仕上がりを支える重要な工程が「下塗り」です。
下塗り塗料は、外壁と仕上げ塗料をつなぐ大切な役割を担っており、この工程が適切に行われてはじめて、仕上げ塗料は本来の性能を発揮することができます。
この記事では、下塗り塗料の役割や種類、選び方など、外壁塗装の品質を左右するポイントについてわかりやすく解説します。
外壁塗装の「3回塗り」の構造と各工程の役割か

外壁塗装は、「下塗り・中塗り・上塗り」の3つの工程を重ねることで、美しい仕上がりと耐久性を実現します。それぞれの工程には異なる役割があり、どれか一つでも欠けると、塗装本来の性能を十分に発揮できません。
それぞれの工程が担う役割は、以下のとおりです。
【下塗り(1回目)】
外壁と仕上げ塗料をしっかり密着させるための土台をつくる
【中塗り(2回目)】
塗膜に十分な厚みを持たせ、色ムラを抑えながら耐久性を高める
【上塗り(3回目)】
仕上げの色やツヤを整え、耐候性や防汚性などの性能を発揮する
その中でも重要なのが、最初に行う「下塗り」です。下塗り塗料は、外壁と仕上げ塗料を密着させる役割を担っており、この工程が適切に行われることで、仕上げ塗料は本来の性能を十分に発揮できます。
どれほど高性能な仕上げ塗料を使用しても、下塗りが適切でなければ、塗膜の剥がれや膨れなどの不具合につながる可能性があります。そのため、下塗りの品質は、塗装全体の耐久性や仕上がりを左右する重要なポイントといえます。
下塗り塗料が果たす4つの重要な役割
下塗り塗料には、仕上げ塗料の性能を十分に発揮させるためのさまざまな役割があります。
塗装の品質や耐久性にも大きく関わるため、適切な下塗りは長持ちする塗装に欠かせません。主な役割は、次の4つです。
役割1:上塗り塗料と外壁を密着させる
下塗り塗料の最も重要な役割は、外壁と仕上げ塗料をしっかり密着させることです。
外壁の表面は、経年劣化によって汚れや粉化した塗膜などが残っていたり、そのままでは仕上げ塗料が密着しにくい状態になっていたりすることがあります。そこで下塗り塗料を塗ることで、外壁と仕上げ塗料の間をつなぐ役割を果たし、塗膜の密着性を高めます。
もし、下塗りが適切に行われていない場合、仕上げ塗料が外壁に十分密着できず、塗膜の剥がれや膨れなどの不具合につながる可能性があります。美しい仕上がりを長く維持するためには、下塗りによる密着性の確保が欠かせません。
役割2:外壁の吸い込みを抑える
劣化した外壁は、表面の防水性が低下していることで、塗料をスポンジのように吸い込んでしまうことがあります。
吸い込みが大きい状態で仕上げ塗料を塗ると、塗料が外壁内部に吸収され、塗料の量が不足したり、塗膜の厚みが均一にならなかったりする原因になります。また、部分的に色の濃淡が出る色ムラにつながることもあります。
下塗り塗料には、外壁表面を整えて塗料の吸い込みを抑える役割があります。これにより、仕上げ塗料を均一に塗布しやすくなり、塗料本来の性能を発揮しやすい状態をつくります。
役割3:下地を強化・補修する
外壁は年月の経過とともに、チョーキング(表面が粉状になる現象)や細かなひび割れなどの劣化が発生することがあります。
このような状態のまま仕上げ塗料を塗っても、塗料が十分に密着できなかったり、きれいな仕上がりにならなかったりする場合があります。
下塗り塗料の中には、外壁表面に浸透して下地を補強するものや、細かな凹凸を整える機能を持つものがあります。下地の状態に合わせた下塗り塗料を使用することで、仕上げ塗料を塗装しやすい状態へ整えることができます。
役割4:旧塗膜の色を隠す(隠蔽効果)
外壁塗装では、現在とは異なる色へ塗り替える場合、下地に残っている旧塗膜の色が仕上がりに影響することがあります。特に、濃い色の外壁から白や淡い色などの明るい色へ変更する場合、下地の色が透けることで、仕上げ塗料の色が本来の色味にならないことがあります。
そこで使用されるのが、隠蔽効果のある下塗り塗料です。下塗りによって旧塗膜の色を均一に覆うことで、仕上げ塗料の発色を助け、希望する色に近い美しい仕上がりにつながります。
下塗り塗料の5つの種類と特徴
下塗り塗料にはいくつかの種類があり、外壁材の種類や劣化状況、使用する仕上げ塗料に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
代表的な下塗り塗料には、「シーラー」「プライマー」「フィラー」「微弾性フィラー」「サーフェーサー」の5種類があり、それぞれ役割や特徴、適した用途が異なります。
ここでは、それぞれの特徴や使用される場面についてご紹介します。
①シーラー(最も代表的な下塗り材)
シーラーは、「シール(密封する)」を語源とする下塗り塗料で、下塗り材の中でも最も一般的に使用されています。
さらっとした液状で外壁に浸透し、傷んだ下地を補強するとともに、外壁と仕上げ塗料をしっかり密着させる役割があります。また、劣化した外壁への塗料の吸い込みを抑え、仕上げ塗料をムラなく塗れる状態に整えることも大切な役割の一つです。
シーラーは、サイディング外壁やスレート屋根など幅広い建材に使用されており、「水性タイプ」と「溶剤系(油性)タイプ」の2種類があります。
水性シーラー:臭臭いが少なく扱いやすいことから、下地の劣化が比較的軽い外壁によく使用される。 溶剤系シーラー:高い浸透力と密着力を持ち、劣化が進んだ外壁や塗料の吸い込みが激しい下地に適している。
外壁の状態に合わせて適切なシーラーを選ぶことで、仕上げ塗料が本来の性能を発揮しやすくなり、塗装の耐久性や仕上がりにもつながります。
②プライマー(シーラーとほぼ同じ意味)
プライマーは、「プライマリー(最初の)」を語源とする下塗り塗料です。基本的な役割はシーラーと同じで、外壁や下地と仕上げ塗料を密着させ、塗膜が長持ちするための土台をつくります。
シーラーがモルタルやコンクリート、窯業系サイディングなど、塗料を吸い込みやすい下地に使用されることが多いのに対し、プライマーは金属やアルミ、ステンレス、プラスチックなど、塗料が密着しにくい素材に使用されることが多い下塗り塗料です。
特に鉄部の塗装では、防錆機能を備えたプライマーが使用されることがあり、サビの発生を抑えながら、仕上げ塗料がしっかり密着できる状態に整える役割を果たします。
ただし、「シーラー」と「プライマー」には明確な区別があるわけではありません。メーカーや製品によって名称の使われ方は異なり、同じような性能を持つ下塗り塗料が「シーラー」「プライマー」と呼ばれることもあります。
そのため、下塗り塗料を選ぶ際は名称だけで判断するのではなく、塗装する外壁材や下地の状態、必要な機能に合わせて適切な製品を選ぶことが大切です。
③フィラー(凹凸を埋める下塗り材)
フィラーは、「フィル(埋める)」を語源とする下塗り塗料です。シーラーやプライマーのように下地へ浸透させる塗料とは異なり、外壁表面の凹凸や細かなひび割れを埋め、塗装面を整える役割があります。
粘度が高く、クリーム状の材料であることが特徴で、厚みを持たせて塗装することができます。そのため、外壁表面のざらつきや凹凸を整え、仕上げ塗料を塗装しやすい状態にするために使用されます。
特に、幅0.3mm以下程度の細かなひび割れであるヘアクラックの補修や、モルタル外壁・ALC外壁の下地調整に適しています。施工時には、砂骨ローラーなどを使用して厚みを持たせて塗装することがあります。
表面が比較的平滑なサイディング外壁では、フィラーではなくシーラーやプライマーが使用されることが一般的です。
フィラーは基本的に水性タイプの下塗り塗料で、主に外壁表面の凹凸や細かなひび割れを整えるために使用されます。
④微弾性フィラー(シーラー+フィラーのハイブリッド)
微弾性フィラーは、シーラーの密着性とフィラーの下地調整機能を兼ね備えた下塗り塗料です。外壁表面の凹凸や細かなひび割れを整えながら、仕上げ塗料が密着しやすい状態にする役割があります。
フィラーとの大きな違いは、塗膜に柔軟性があることです。微弾性という名前の通り、硬化後もわずかに伸び縮みする性質があり、建物の動きや温度変化によって発生する細かなひび割れに追従しやすい特徴があります。
そのため、モルタル外壁やALC外壁など、ひび割れが発生しやすい外壁で多く使用されています。また、フィラーのように厚みを持たせて施工できる製品もあり、表面の凹凸を整える下地調整にも適しています。
ただし、微弾性フィラーはすべてのひび割れを補修したり、防いだりするものではありません。大きなひび割れや下地の傷みがある場合は、事前に適切な補修を行ったうえで使用することが大切です。
⑤サーフェーサー(表面調整材)
サーフェーサーは、「サーフェス(表面)」を語源とする塗料で、外壁表面の細かな凹凸や傷を整え、表面を平滑に仕上げるために使用される塗料です。
主な役割は、下地を滑らかに整え、仕上げ塗料を均一に塗装できる状態にすることです。また、顔料を含むタイプでは隠蔽性があり、旧塗膜の色を覆い隠すことで、仕上げ塗料本来の色を出しやすくする効果があります。
そのため、濃い色の外壁から明るい色へ塗り替える場合や、下地の色が仕上がりに影響しやすい場合にも使用されます。
サーフェーサーは、本来は中塗り材として扱われることもありますが、近年では下塗り機能を兼ね備えた製品も増えています。製品名では「○○サーフ」と表記されることも多く、下地の状態を整えながら、仕上がりをより美しくするために使用されます。
外壁材別 おすすめの下塗り塗料
下塗り塗料は、外壁材の種類や劣化状態によって適したものが異なります。 外壁に合わない下塗り材を使用すると、仕上げ塗料の密着性や耐久性に影響する可能性があるため、外壁の状態に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、代表的な外壁材ごとに適した下塗り塗料の種類や注意点について解説します。
サイディングボード(窯業系)

窯業系サイディングは、現在の戸建て住宅で多く使用されている外壁材です。 表面の状態や、現在塗られている塗膜の種類によって、使用する下塗り塗料が変わります。
■おすすめの下塗り
・浸透性シーラー
劣化が比較的少ない窯業系サイディングに適した下塗り塗料です。外壁への塗料の吸い込みを抑え、仕上げ塗料がしっかり密着する下地をつくります。
・エポキシ系シーラー
チョーキングが進んでいるなど、劣化が目立つ窯業系サイディングに適しています。浸透力が高く、傷んだ下地を補強しながら、仕上げ塗料の密着性を高めます。
・サーフェーサー
外壁の色を大きく変える場合や、旧塗膜の色が仕上がりに影響する場合に適しています。下地の色を整え、仕上げ塗料本来の色味をきれいに発色させることができます。
■注意点
窯業系サイディングでは、フィラーが使用されるケースは一般的に多くありません。
また、光触媒・フッ素・無機塗料などで仕上げられたサイディングは塗料が密着しにくいため、難付着外壁に対応した専用のシーラーを使用する必要があります。
モルタル外壁

モルタル外壁は、セメントを塗り重ねて仕上げる外壁材で、経年劣化によって細かなひび割れ(ヘアクラック)が発生しやすい特徴があります。そのため、外壁の状態に合わせて下塗り塗料を選ぶことが大切です。
■おすすめの下塗り
・微弾性フィラー
ヘアクラックが多く見られるモルタル外壁に適した下塗り塗料です。細かなひび割れを埋めながら、柔軟性のある塗膜によって建物のわずかな動きにも追従しやすくなります。
・フィラー
ひび割れは少なく、表面の凹凸やざらつきを整えたい場合に適しています。厚みを持たせて塗装できるため、下地を平滑に整えることができます。
・シーラー+フィラー
外壁の劣化が進んでいる場合は、シーラーで下地を補強した後にフィラーで表面を整える施工が行われることがあります。下地の状態に応じて使い分けることで、仕上がりや耐久性の向上につながります。
■注意点
モルタル外壁では、ひび割れを補修せずにシーラーだけを塗装すると、ひび割れ跡や凹凸が残り、仕上がりに影響することがあります。そのため、外壁の状態に応じて、微弾性フィラーなど弾性のある下塗り材を使用し、適切な下地調整を行うことが大切です。
ALC外壁

ALC外壁は、軽量気泡コンクリートでできた外壁材です。軽量で断熱性に優れていますが、水を吸いやすい性質があるため、外壁を保護するには適切な下塗りが欠かせません。
■おすすめの下塗り
・微弾性フィラー
細かなひび割れや表面の凹凸を整えながら、ALC特有の模様を活かした仕上がりにしたい場合に適しています。
・エポキシ系シーラー
外壁の劣化が進み、下地の補強が必要な場合に使用されます。浸透力が高く、吸水しやすい下地を整えながら、仕上げ塗料の密着性を高めます。
■注意点
ALC外壁は吸水性が高いため、防水性の高い下塗り塗料を使用することが重要です。外壁の状態に合った下塗りを行うことで、水の浸入を抑え、塗膜の耐久性を維持しやすくなります。
金属外壁(ガルバリウム・トタンなど)

ガルバリウム鋼板やトタンなどの金属外壁は、塗料が密着しにくい素材です。そのため、金属専用の下塗り塗料を使用して、仕上げ塗料がしっかり密着する下地をつくることが重要です。
■おすすめの下塗り
・金属用プライマー
サビが発生していない金属外壁に適した下塗り塗料です。金属と仕上げ塗料の密着性を高め、塗膜が剥がれにくい状態をつくります。
・防錆プライマー(錆止め)
サビが発生している金属外壁に使用されます。サビの進行を抑えながら、仕上げ塗料が密着しやすい下地を整えます。
■注意点
金属外壁では、下塗りの前にケレン作業(サビや古い塗膜を除去する作業)が欠かせません。ケレンが不十分なまま塗装すると、下塗り塗料が十分に密着せず、塗膜の剥がれやサビの再発につながる可能性があるので注意が必要です。
下塗りが「省略・手抜き」されるとどうなるか
下塗りは仕上げ塗料の下に隠れてしまうため、塗装後に目で確認することが難しい工程です。しかし、塗装の耐久性や仕上がりを左右する重要な工程でもあります。
そのため、下塗りが省略されたり、外壁の状態に合わない下塗り塗料が使用されたりすると、次のようなトラブルにつながることがあります。
トラブル1:塗膜の剥がれ・膨れ
下塗りには、外壁と仕上げ塗料をしっかり密着させる重要な役割があります。下塗りが省略されたり、下地処理が不十分なまま施工されたりすると、仕上げ塗料が外壁に十分密着できず、塗装後1〜2年ほどで塗膜が剥がれてしまうケースがあります。
特に、汚れや古い塗膜、サビなどが残った状態で塗装を行うと、塗料が下地に密着しにくくなり、剥がれや膨れの原因になります。
また、塗膜の膨れは、塗装工程で内部に水分が残ることでも発生します。高圧洗浄後や塗装後に十分な乾燥時間を確保せず次の工程へ進むと、塗膜内部に残った水分が時間の経過とともに蒸発し、内部に空気がたまって膨れが発生することがあります。
雨天や湿度の高い環境での施工も、膨れにつながる原因の一つです。
塗膜の剥がれや膨れを放置すると、防水性能が低下し、雨水が外壁内部へ入り込む可能性があります。外壁を長く保護するためにも、異常を発見した場合は早めに補修を行うことが大切です。
トラブル2:色ムラ・ツヤムラ
劣化した外壁は、表面の防水性が低下しているため、塗料を吸い込みやすい状態になっています。
このような下地に対して、外壁の状態に合った下塗り塗料の塗布や下地調整を十分に行わないまま仕上げ塗料を塗装すると、塗料が部分的に吸い込まれ、色ムラやツヤムラの原因になります。
特に、外壁の一部だけ吸い込みが強い状態では、同じ塗料を使用しても仕上がりに濃淡が出たり、ツヤの出方にばらつきが生じたりすることがあります。
色ムラやツヤムラは見た目だけの問題と思われがちですが、塗膜が均一に形成されていない可能性があり、塗料本来の性能を十分に発揮できない場合があります。
美しい仕上がりと塗膜の耐久性を維持するためにも、外壁の状態に合わせた下塗り塗料を選び、適切に施工することが重要です。
トラブル3:サビの再発
鉄部の塗装では、下塗り塗料として使用する錆止め塗料が、サビの発生を抑え、仕上げ塗料を長持ちさせる重要な役割を担っています。
しかし、ケレン作業(サビや古い塗膜を除去する作業)が不十分だったり、下地の状態に合わない錆止め塗料を使用したりすると、残ったサビが塗膜の内部で進行し、塗装後しばらくしてから再び表面に現れることがあります。
サビが進行すると、塗膜の浮きや剥がれにつながり、鉄部の腐食を進める原因にもなります。そのため、鉄部を塗装する際は、サビの状態に合わせた下地処理を行い、適切な錆止め塗料を下塗りとして使用することが大切です。
トラブル4:ひび割れの再発
モルタル外壁やALC外壁など、ひび割れが発生しやすい外壁では、下地の状態に合わせた下塗り塗料を選ぶことが重要です。
ひび割れを十分に補修しないまま塗装を行ったり、細かなひび割れが発生している外壁に弾性のない下塗り材を使用したりすると、塗装後に再びひび割れが現れることがあります。
特に、幅0.3mm以下程度のヘアクラックと呼ばれる細かなひび割れには、微弾性フィラーなどの柔軟性を持つ下塗り材を使用することで、外壁の動きに追従しやすくなります。
ひび割れを放置すると、隙間から雨水が入り込み、外壁内部の劣化につながる可能性があります。外壁の状態を正しく確認し、必要な補修と適切な下塗りを行うことが、長持ちする塗装につながります。
トラブル5:旧塗膜の色透け
外壁を濃い色から白やベージュなどの明るい色へ塗り替える場合、下地に残っている旧塗膜の色が仕上がりに影響することがあります。
そのまま仕上げ塗料を塗装すると、下地の色が透けて見えたり、仕上げ塗料本来の色味を十分に発揮できなかったりする場合があります。そのため、下地の色を覆う隠蔽性のある下塗り塗料を使用し、仕上げ塗料がきれいに発色できる状態を整えることが大切です。
また、仕上げ塗料をメーカーが指定する塗布量より少なく塗装した場合も、塗膜の厚みが不足し、下地が透けて見える「透けムラ」の原因になります。
希望どおりの美しい仕上がりにするためには、塗り替える色や下地の状態に合わせて適切な下塗り塗料を選び、仕上げ塗料も規定の塗布量を守って施工することが重要です。
下塗りは「1回」か「2回」か?
外壁塗装では、下塗りは1回行うのが一般的ですが、必要な回数は外壁の状態によって異なります。劣化の程度や下地の状態に合わせて、1回で十分な場合もあれば、2回塗りや異なる種類の下塗り塗料を組み合わせる場合もあります。
1回塗りで十分なケース
外壁の劣化が比較的少なく、下地がしっかりしている場合は、下塗り1回で十分なケースが多くあります。
例えば、次のような場合です。
・既存塗膜の劣化が軽度な場合
・外壁の吸い込みが少ない場合
・新築後、初めて塗装を行う外壁
このような外壁では、適切な下塗り塗料を1回塗装することで、仕上げ塗料が十分に密着し、本来の性能を発揮しやすくなります。
2回塗り(または2種類の下塗り)が推奨されるケース
外壁の劣化が進んでいる場合や、下地調整が必要な場合は、下塗りを2回行ったり、異なる種類の下塗り塗料を組み合わせたりすることがあります。
例えば、次のような場合です。
・チョーキング(粉化)が進行している外壁
・塗料の吸い込みが激しいモルタル外壁
・濃い色から明るい色へ塗り替えるなど、旧塗膜の色をしっかり隠したい場合
・モルタル外壁で、シーラーとフィラーを組み合わせて下地調整を行う場合
下塗りを適切に行うことで、仕上げ塗料の密着性や仕上がり、塗膜の耐久性を高めることにつながります。
下塗り回数は現地調査で判断することが大切
下塗りの回数は、一律に決められるものではありません。外壁材の種類や劣化の程度、塗料の吸い込み具合などを確認したうえで、建物の状態に合わせて判断することが重要です。
そのため、見積もりを依頼する際は、下塗りの回数だけでなく、「なぜその下塗り塗料を選ぶのか」「なぜその施工方法が必要なのか」といった理由まで丁寧に説明してくれる業者を選ぶと安心です。
主要メーカーの代表的な下塗り塗料
塗料メーカーでは、上塗り塗料の性能を十分に発揮できるよう、それぞれに対応した下塗り塗料を展開しています。
下塗り塗料は、外壁と上塗り塗料をしっかり密着させるだけでなく、下地の状態を整える役割もあります。ここでは、主要メーカーの代表的な下塗り塗料を紹介します。
日本ペイント
■水性パーフェクトサーフ
窯業系サイディングやモルタル外壁などの塗り替えに使用される水性サーフェーサーです。下地の細かな凹凸や色ムラを整え、上塗り塗料が均一に仕上がるよう下地を調整します。
■水性パーフェクトプライマー
金属系の素材や付帯部など、さまざまな下地に使用される水性プライマーです。下地と上塗り塗料の密着性を高める役割があり、外壁以外の金属部や硬質塩ビ製品などの塗装にも対応しています。
■パーフェクトフィラー
モルタル外壁などの下地調整に使用される微弾性フィラーです。下地の細かなひび割れや凹凸を整え、塗装しやすい状態にすることで、上塗り塗料の仕上がりをサポートします。
関西ペイント
■アレスホルダーGII
下地調整材・下塗り材・中塗り材の機能を兼ね備えた微弾性タイプの下塗り塗料です。下地の凹凸を整える充填性があり、外壁面を塗装しやすい状態に調整します。外壁塗装の下地づくりに幅広く使用されています。
■エコカチオンシーラー
環境に配慮した水性タイプのカチオンシーラーです。下地への浸透性があり、塗料の吸い込みを抑えながら、上塗り塗料との密着性を高めます。コンクリートやモルタル、ALC板などの下地に使用され、さまざまな仕上げ塗材に対応しています。
エスケー化研
■ミラクシーラーエコ
一液架橋型のカチオンシーラーで、既存の塗膜や各種水性仕上げ塗材など幅広い下地に対応できる下塗り塗料です。下地への付着性に優れ、塗料の吸い込みを抑えることで、上塗り塗料が均一に仕上がるよう下地を整えます。また、防かび・防藻機能を備えた製品です。
■マイルドSDサーフエポプレミアム
窯業系サイディングの塗り替えに使用される、弱溶剤タイプの微弾性サーフェーサーです。特殊変性エポキシ樹脂をベースとしており、劣化したサイディングの下地補強や表面調整に使用されます。
下地を整えながら、上塗り塗料が施工しやすい状態をつくり、美しい仕上がりをサポートします。
アステックペイント
■エポパワーシーラー
水性形一液外壁用エポキシ系下塗り材で、コンクリート、モルタル、ALC、窯業系サイディング、各種旧塗膜など幅広い下地に対応しています。エポキシ樹脂の特性により、下地への密着性に優れており、下地と上塗り塗料をしっかりと結びつける役割を持つ下塗り塗料です。
また、下地への浸透性も備えており、塗装面の状態を整えることで、上塗り塗料が施工しやすい環境をつくります。外壁の塗り替えでは、さまざまな素材や既存塗膜に対応できる下塗り材として選ばれています。
スズカファイン
■ベスコロフィラーHG
劣化したスレート屋根や外壁の下地調整に使用されるフィラーです。経年劣化によって表面が傷んだスレート屋根などに対して、下地の凹凸や傷みを整え、塗装面を均一に調整します。
下地の状態を整えることで、上塗り塗料を施工しやすい状態にし、美しい仕上がりをサポートする下塗り材です。
見積書で必ず確認すべき下塗りに関する4つのポイント
外壁塗装の見積書を確認する際は、上塗り塗料だけでなく、下塗りの内容についても確認することが大切です。下塗りは仕上がりや塗膜の密着性に関わる重要な工程のため、見積書では以下のポイントをチェックしましょう。
チェック1:下塗り塗料の商品名が明記されているか
見積書に「シーラー」「下塗り材」とだけ書かれていないか確認しましょう。下塗り塗料には、シーラー・プライマー・フィラーなどさまざまな種類があり、それぞれ役割や適した外壁材が異なります。
メーカー名や商品名まで記載されていれば、どのような下塗り材を使うのかが分かり、上塗り塗料や外壁材との組み合わせが適切か確認できます。もし製品名の記載がない場合は、「どのメーカーの何という下塗り塗料を使うのか」を業者に確認しておくと安心です。
チェック2:下塗りの回数が記載されているか
見積書に、下塗りの回数が記載されているか確認しましょう。外壁塗装では、基本的に下塗り1回、上塗り2回という工程が多く採用されていますが、外壁の状態や使用する塗料によっては、下塗りを複数回行う場合もあります。
特に、外壁の劣化が進んでいる場合や、下地が塗料を吸い込みやすい状態の場合は、適切な下塗りが必要になります。見積書に回数の記載がない場合は、「下塗りは何回行う予定なのか」を事前に確認しておきましょう。
チェック3:上塗り塗料との組み合わせが妥当か
下塗り塗料は、上塗り塗料との相性も大切です。塗料メーカーでは、それぞれの上塗り塗料の性能を発揮しやすいよう、推奨する下塗り材や施工仕様を設定しています。
見積書に記載されている下塗り材が、使用する上塗り塗料に対応したものか確認しましょう。「なぜこの下塗り材を使うのか」「この組み合わせで問題ないのか」を業者に聞いてみることで、施工内容への理解も深まります。
チェック4:外壁材に適した下塗り材か
下塗り塗料は、どの外壁にも同じものを使うわけではありません。
窯業系サイディング、モルタル、金属系外壁など、外壁材の種類によって適した下塗り材は異なります。また、ひび割れや塗膜の劣化、表面の傷み具合によっても選ぶ製品は変わります。
見積書を見て「なぜこの下塗り材を選んだのか分からない」という場合は、業者に選定理由を説明してもらいましょう。
下塗りは、塗装後には見えなくなる部分ですが、外壁塗装の品質を支える重要な工程です。見積書の段階で下塗りの内容を確認しておくことで、施工内容に納得したうえで工事を依頼できます。
良い下塗り工事をしてくれる業者の見分け方
下塗りは、塗装後には見えなくなる工程ですが、外壁と上塗り塗料の密着性を高めたり、下地の状態を整えたりする重要な役割があります。
そのため、外壁塗装を依頼する際は、仕上げの色や上塗り塗料の種類だけでなく、下塗りについても丁寧に説明してくれる業者かどうかを確認することが大切です。
良い業者の特徴
■下塗り塗料の役割を丁寧に説明してくれる
下塗りは、外壁塗装の仕上がりを支える大切な工程です。そのため、使用する上塗り塗料だけでなく、下塗りの役割や必要性についても説明してくれる業者を選びましょう。
下塗り塗料には、外壁と上塗り塗料の密着性を高める、塗料の吸い込みを抑えて仕上がりを均一にする、下地の状態を整えるなどの役割があります。
「なぜこの下塗り材を使用するのか」「自宅の外壁に適している理由は何か」を分かりやすく説明してくれる業者であれば、施工内容を理解したうえで工事を依頼できます。
■外壁の状態を見てから下塗り材を提案してくれる
下塗り塗料は、すべての外壁に同じものを使用するわけではありません。
窯業系サイディング、モルタル、ALC、金属系外壁など、外壁材の種類によって適した下塗り材は異なります。また、同じ外壁材でも、ひび割れや塗膜の劣化、表面の傷み具合によって選ぶべき下塗り材は変わります。
現地調査で外壁の状態を確認し、その状況に合わせた下塗り材を提案してくれる業者を選ぶことが大切です。
■メーカー推奨の施工仕様に沿って提案してくれる
塗料メーカーでは、上塗り塗料の性能を発揮しやすくするために、推奨する下塗り材や施工仕様を設定しています。
使用する上塗り塗料に合わせて適切な下塗り材を選び、メーカーの仕様に沿った提案をしてくれる業者であれば、塗料本来の性能を発揮しやすい施工につながります。
見積もりの際には、「この上塗り塗料に対して、なぜこの下塗り材を使用するのか」を確認すると、施工内容をより理解できます。
■見積書に下塗り塗料の商品名・回数・塗布量まで明記
下塗りは完成後には見えなくなる工程だからこそ、見積書の段階で施工内容を確認しておくことが大切です。「下塗り一式」とだけ記載されている場合、どの商品を使用するのか、何回施工するのかが分かりません。
使用する下塗り塗料の商品名や施工回数、必要に応じて塗布量などが記載されていれば、工事内容を具体的に確認できます。
■工程ごとに作業写真を撮ってくれる
下塗りは、上塗り塗料を施工すると見えなくなる工程のため、工事完了後に実際の施工状況を確認することが難しい部分です。
そのため、下塗り前の下地の状態や、下塗り施工後の写真など、工程ごとの記録を残している業者であれば、どのような作業が行われたのか確認できます。
施工内容を写真で確認できることは、工事の透明性を高め、施主が安心して塗装工事を任せるためのポイントのひとつです。
■必要に応じて「下塗り2回」を提案できる
下塗りの回数は、外壁の状態や使用する下塗り材によって決まります。下地の劣化が進んでいる場合や、塗料の吸い込みが大きい場合などは、状況に応じて下塗りを追加することがあります。
大切なのは、「必ず2回塗る」「1回で十分」と回数だけで判断するのではなく、外壁の状態を確認したうえで、必要な施工方法を提案してくれることです。
要注意の業者
下塗りは、塗装後には見えなくなる工程だからこそ、どのような施工を行うのかを丁寧に説明してくれる業者かどうかを確認することが大切です。
以下のように、下塗りについて十分な説明がない場合や、施工内容が不明確な場合には注意が必要です。
・下塗りの説明をしてくれない
・見積書に「下塗り一式」としか記載されていない
・上塗り塗料の種類や性能ばかりを強調し、下塗りについて説明がない
・外壁の状態を確認せずに下塗り材を決めている
・「下塗りは1回で大丈夫」と理由の説明なく判断している
下塗り材は、外壁材の種類や劣化状態、使用する上塗り塗料によって適したものが異なります。そのため、「なぜこの下塗り材を使用するのか」「自宅の外壁に適している理由は何か」を分かりやすく説明してくれる業者を選ぶことが大切です。
業者を選ぶ際は、会社の規模や施工体制だけで判断せず、現地調査の内容、見積書の記載内容、使用する塗料や施工工程について丁寧に説明があるかを確認しましょう。
施工を下請け業者が担当する場合でも、元請け業者が工事内容を適切に管理し、下塗りを含めた施工内容を明確に説明していることが重要です。
下塗りは完成後には見えなくなる工程ですが、外壁と上塗り塗料の密着性や仕上がりを支える大切な工程です。金額だけで判断せず、施工内容に納得できる業者を選ぶことが、安心できる外壁塗装につながります。
天羽塗装の下塗りへのこだわり
千葉県袖ケ浦市の天羽塗装では、下塗りを外壁塗装の仕上がりを支える重要な工程のひとつと考えています。
下塗りは、上塗り塗料を施工すると見えなくなる部分ですが、外壁と上塗り塗料の密着性を高めたり、下地の状態を整えたりする役割があります。
大切なのは、どの下塗り材を使うかだけではなく、外壁の状態を正しく確認し、その状態に合った施工を行うことです。
私たちの下塗りへの取り組みをご紹介いたします。
外壁の状態を確認したうえで下塗り材を選定する
下塗り材は、すべての外壁に同じものを使用するわけではありません。外壁材の種類や既存塗膜の状態、劣化の進み具合によって、適した下塗り材は異なります。
そのため、現地調査では外壁の状態を丁寧に確認し、なぜその下塗り材が適しているのかを考えたうえで施工方法をご提案しています。
必要以上の工程を追加するのではなく、現在の外壁に必要な施工を見極めることを大切にしています。
上塗り塗料の性能を発揮できる施工仕様をご提案する
下塗りは、上塗り塗料を長持ちさせるための土台となる工程です。そのため、使用する上塗り塗料との相性や、メーカーが定める施工仕様を確認したうえで、適切な組み合わせで施工することを大切にしています。
塗料の種類だけで判断するのではなく、外壁の状態と使用する塗料の特徴を踏まえた施工を行います。
必要に応じて適切な下塗り工程をご提案する
外壁の状態によっては、通常の下塗りだけではなく、下地の状態を整えるために複数の下塗り材を使用する場合があります。
例えば、シーラーで下地への密着性を高めた後、フィラーで表面を調整するなど、下地の状態に合わせて施工方法を検討します。
大切なのは、すべての住宅で同じ施工を行うのではなく、それぞれの外壁に合った方法を選択することです。
施工内容を分かりやすくご説明する
下塗りは完成後には確認できない工程だからこそ、施工内容を事前に分かりやすくお伝えすることが大切だと考えています。
見積書には、使用する下塗り塗料の商品名やメーカー名、施工回数などを記載し、どのような工程で工事を行うのかをご説明しています。
また、施工中の工程写真を残し、見えなくなる部分も確認できるよう努めています。
下塗りを含めた適切な施工で、安心できる外壁塗装へ
外壁塗装は、仕上がりとして見える上塗りだけでなく、その下にある下塗りや下地処理が重要です。
天羽塗装では、見た目の仕上がりだけを重視するのではなく、外壁の状態に合わせた適切な施工を行うことを大切にしています。
下塗りの役割や施工内容を丁寧にご説明し、お客様が納得したうえで安心して外壁塗装を進められるようサポートしています。
まとめ
屋根リフォームでは、費用や工事方法だけで判断するのではなく、現在の屋根の状態を正しく確認したうえで、適した工法を選ぶことが大切です。
カバー工法は、既存の屋根材を撤去せず、その上から新しい屋根材を重ねて施工する方法です。撤去作業を省けるため、工事期間や費用を抑えられる場合があります。
ただし、すべての屋根に適しているわけではありません。屋根材の種類や劣化状況、下地の状態によっては、カバー工法ではなく屋根塗装や葺き替え工事が適している場合もあります。
屋根リフォームで大切なのは、特定の工法を前提にするのではなく、以下のポイントを確認したうえで工事方法を選択することです。
・屋根材の種類や現在の状態を正しく確認する
・表面だけでなく、下地の状態も含めて判断する
・カバー工法・塗装・葺き替え、それぞれの特徴や注意点を理解する
・将来的なメンテナンスまで考えて工法を選ぶ
「カバー工法を勧められたけれど、本当に自宅に合っているのか不安」
「カバー工法と葺き替えのどちらが適しているのか知りたい」
「必要以上の工事を提案されていないか確認したい」
このようなお悩みがある方は、ぜひ天羽塗装へご相談ください。
千葉県袖ケ浦市・木更津市・市原市・君津市・富津市・茂原市・千葉市エリアで、創業20年以上の施工実績をもとに、屋根の状態を丁寧に確認し、お住まいに合ったリフォーム方法をご提案します。
ご相談・現地調査・劣化診断・お見積もりはすべて無料です。


